先日、姫野桂さんの著書「発達障害グレーゾーン」を読みました。
「生きづらさ」をガッツリ抱えている人達の姿がリアルに描かれている本書には、色々と考えさせられるところがありました。
健常者でもなく発達障害でもない発達障害グレーゾーンは、社会のあらゆるところで目にする人達です。
「発達障害グレーゾーン」は、そんな彼らを理解する上で大きな助けになるとともに、「なんで人と同じ事ができないんだろう…」と人知れず悩んでいる人達にとっては、福音の書になるかもしれません。
発達障害グレーゾーンとは
発達障害グレーゾーンを考える上で、まず「発達障害」について押さえておく必要があります。
発達障害の御三家はこの3つ。かなり大雑把に特性を書きます。
ADHD:多動、注意力欠如傾向あり
ASD:コミュニケーション不全・こだわりが強い
LD:字が読めない、計算が出来ないなど
発達障害は、この3つが混ざっているケースも多いみたいです
この発達障害は医師によって診断されるものですが、特性がありながらも基準を満たさないケースが「発達障害グレーゾーン」と呼ばれる人達となります。
また、病院で診断は受けていないけれども、ADHDやASDの傾向が明らかにあるという人も広義に含まれます。
労働の場で目にする発達障害グレーゾーンな人達
実は私の職場でも、実際に発達障害の診断が下りた人や、明らかに特性をもっている人たちがいます。
彼ら(彼女達)はちゃんと社会に出て働いていますし、その点においては他の人間と何ら変わりはありません。
ただ、やはり普通のスタッフとはどこか違ったところがあります。喜怒哀楽が激しかったり、何度注意しても「自分のこだわり」を正せなかったり…。
一般的には「ちょっと変わった人」となるのでしょう、
発達障害と聞くと、なんとなく「周囲とコミュニケーションがとれない人」といった、ステレオタイプなイメージを持つ人が多いと思う。たしかに重度のASD傾向を抱えた発達障害当事者だとそういった場合も多いのだが、症状が軽度のグレさん※には、そのイメージが当てはまらないことが多いのだ。※グレさん:発達障害グレーゾーンの人達に対する著者の愛称
引用:姫野桂「発達障害グレーゾーン」
「発達障害グレーゾーン」でも、グレーゾーンの人達はわかりにくい人達とされています。
しかし、当事者である彼らは「皆が当たり前に出来ることが出来ない」ということを、密かに悩んでいることも多いようです。
グレーゾーン同士で集って情報共有をしている人達
「発達障害グレーゾーン」では、グレーゾーンな人たちが情報共有をするイベント「ぐれ会!」が紹介されています。
このイベントではさまざまなテーマを元に「発達障害グレーゾーンとしての生き方」を考える場になっているようです。
問題に対する解決方法よりも「共有」の意義が大きそうですね
私の会社で、大人になってから「周囲の人との違和感」から診断を受け、発達障害の診断が下りた人がいました。
しかし、診断が下りたはいいものの、「キャリアアップに影響が出そう」「偏見の目でみられそう」ということから、結局オープンにしなかったんですね。
結局、周囲の人との違和感の原因はわかったものの、どうすればいいのかわからず、1人で悩み続ける結果になったようです。
もし「ぐれ会!」のように当事者が集まる場が身近にあったなら、どんなにか心強いだろうなと思います。
発達障害グレーゾーンとしてどう生きていくか
発達障害も発達障害グレーゾーンも、基本的に治療法は確立されていません。
(私個人の考えではブレインジムや運動療法等で大分軽減はされると考えていますが)
▼アメリカで2万人以上の子供が実践したプログラム!ちょっと気になる本です
発達障害の診断がおりれば、障害者雇用の恩恵を受ける人もいるかもしれませんが、グレーゾーンの方は健常者と同じ条件で働かねばならないため、特性を考えるとなかなか不利な状況です。
「発達障害グレーゾーン」には、当事者の方がどう生きていけばよいかのヒントが盛り込まれています。
まず1つは「当事者会」に積極的に参加することですよね。こういった場での情報共有や人脈は必ず助けになります。
そして2つめは、当事者達による生きる知恵です。「第6章 グレさんたちが見つけた「生き抜く方法」」にさまざまなライフハックが収録されていますので参考になるかと思います。
まとめ
発達障害グレーゾーンは、診断がおりた人や「生きづらさを感じている未診断の人」は読むべき本だと思いました。また、ちょっと扱いが難しい部下をもつ上司の方も読むとよいでしょう。
発達障害の人も発達障害グレーゾーンの人も、当たり前ですが「幸せに生き、社会で活躍する権利」があります。
もしかしたらちょっとだけ特性を抑える薬を飲んだり、周囲の力を借りる必要はあるかもしれませんが、そんなものは大した問題ではないんですよ。悩みつづけるより「前に進むための手段」があれば何でも使うのが最上策です。
この本を多くの方が手にとり、生きづらさを抱える方達の認知が進み、当事者の集いが活発化するとよいなぁと願ってやみません。
「モエルライフ。」は発達障害当事者のかたを応援してます!
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