以前私が管轄していた部署を引き継いた後輩と、たまたま一緒に帰ることがありました。
久しぶりに話すのでテンションが高い私とは逆に、覇気が全く感じられない後輩・・・。
「どうかしたのか?」と思わず尋ねると、どうもスタッフのことで悩んでいる模様。
「”ねころすさんがいた頃は良かった”という人間が多いんです」
は?!
間接的とはいえど、まさか自分が、かつていた部署のトラブルに関わっていようとは・・・。
- 「うちの会社も昔のほうがよかった」はほとんど思い出補正のはずだが・・・
- 社内モンスターに成り果てた社員たち
- 前任者を悪に仕立て上げてでも、「今」に目を向けさせよ
- 斬りたくない馬謖を斬るから、孔明は泣いたのだ
- 常に清々しい空気を保つのがトップの努め
「うちの会社も昔のほうがよかった」はほとんど思い出補正のはずだが・・・
「思い出補正」という言葉があります。
現状に不満を感じるあまり、思い出がどんどん脳内で美化されていく現象のことですよね
「うちの会社も昔のほうがのびのびしていてよかった」
「○○さんが上司だった頃はよかった」
こんなことは大抵この「思い出補正」に当てはまります。
私からすると「いやいやいや、当時は当時で文句ばっか言ってたやんか!」とツッコミたくなるほど・・・。
不思議なことに、人は未来よりも過去のほうを”良いもの”と思いたがる生き物のようです。
後輩の悩みはまさにその現象だと思っていたのですが、話を聞いてみると事態はいっそう深刻なステージにあるようでした。
社内モンスターに成り果てた社員たち
後輩から詳しく話をきいてみると、どうも複数のメンバーが不満を爆発させており、指示命令に従わない社内モンスター化しているとのこと。
その面々の名前をきくと、なるほど、いずれも実務能力は高いが、扱い辛い連中ばかりです。
何に不満をもっているのかはわかりませんが、ことあるごとに私の名前を比較対象にもち出し、今の管理者の力不足を揶揄している模様。
「上司にも相談しているのですが、内紛が絶えません。どうすればいいのか・・・」
どこかやつれた面持ちで後輩が私を見ました。
しかし、私が彼の立場なら、とる手段は一つしかありません。
どんなに仕事が出来ようと、和を乱す奴は首をハネるしかないぞ!
前任者を悪に仕立て上げてでも、「今」に目を向けさせよ
組織運営をする中で、ある程度の「和」というものは欠かせないものです。
決して馴れ合いがいいわけではありませんが、「人が揃ってこそはじめて戦える」というのもまた組織運営の肝だからです。
持ち場を離れても尚、私のことを慕ってくれるメンバーがいるというのは、個人的にはありがたいことです。
しかし、ここで私が介入し、彼らを一旦沈静化させたとしても何の意味もありません。
逆に後輩の彼には、私のネガキャンを張ってでも「今の環境のほうが確実に進化している。ねころす時代は終わった」といえるぐらい、したたかになって欲しいと思ってます。
前任者の功績を打ち消す重要性は、歴史が証明しています!
斬りたくない馬謖を斬るから、孔明は泣いたのだ
もちろん、私は人をむやみに切ることは好みません。
それぞれに生活もあり、夢があり、守るべき家族がいるからです。
なので組織を円滑にまとめるための努力は最大限行います。
しかし、それでも「組織の士気を下げる言動や振る舞い」が直らないようであれば、容赦なく対応するというのが私の一貫したスタンスです。
苦楽を友にしてきたメンバーに対し、厳格な態度で望むのは辛いことです。
恨みだって買いますし、陰口だって叩かれます。
しかし、規律の乱れやネガティブな思考が蔓延すると、結果的に多くの人間が不幸になってしまうのです。
「泣いて馬謖を斬る」の孔明は、同時に自分の甘さも斬ったんです
常に清々しい空気を保つのがトップの努め
空気が濁ってしまうと、皆が息苦しくなってしまいます。
空気の汚染が進むと、窒息する人間が出てきます。
まさに会社組織もそれが当てはまります。
組織のトップであるなら、率先して窓を開けることが大事です。
また、空気を悪くしている元があるなら、迅速に対処をせねばなりません。
小手先のご機嫌とりより、腹をくくった行動!そこにメンバーからの信頼が集まってくるんだ!
私が十数年かけて得た、しかしシンプルな「ヒューマンマネジメントの極意」は彼に伝えました。
これから大変だと思いますが、「ねころす時代よりも今のほうがいい!」とメンバーに言われるような、新しい時代を築いてほしいと心から思っています!